50代後半~60代半ばの団塊世代の親の年齢は、80歳代半ばから後半といったところ。
すでに十分な高齢ではあるものの、もはや人生は80~90年時代。
日本人の平均寿命は女性が86.3歳、男性が79.5歳(2010年現在)となっていますが、両親ともあるいは片親になったもののまだまだ元気…というご家族も、少なくないことでしょう。
人も他の生物と等しく、生物学的寿命から逃れることは誰にもかないません。
団塊世代に属する自分自身の老後対策で頭がいっぱいで、地方に離れて暮らす親のことは、ついつい忘れがち。
心の底に育ててくれた両親への感謝の気持ちこそ持っているものの、気がつけば日々の生活に追われ、親の顔を見ぬまま月日だけがいたずらに過ぎていく…。
しかしよく考えてみると、親の顔を直接見て話す時間は、もうそう多く残されていないはずですね。
月に一度の電話と、年に1~2回の里帰り。
それをあと数年も繰り返したら、別れの日がやってくることになるのです。
きたるべき親の介護や生活費用などの心配をしているだけで、本当に良いのでしょうか。
いざその日が訪れた時に、後悔の念を持たずにすむでしょうか?
最近では、今を生きる親の気持ちや心身の健康を願って、その後半人生の充実に手を貸そうと考える団塊世代も、少しずつ増えています。
団塊世代ながら、すでに孫すらいるご家庭も珍しくないでしょうが、この世代は傾向として孫よりは自分の老親のほうに目が向きがちなのだそうです。
「孫の日」などに象徴される、孫をターゲットにしたビジネスを活性化させようという動きがありましたが、最近では親を思う子のニーズをすくい上げようという「親思いビジネス」が、勢いづいているそうです。
親子関係をテーマにした様々な書籍・インターネットサイトや、バリアフリー旅行などの新ビジネスも定着しつつありますね。
・オヤノコトネット
・親が死ぬまでにしたい55のこと(親孝行実行委員会)
・全国バリアフリー旅行情報(日本バリアフリー観光推進機構)
・スーパーギフトチェック(フルマインド)
しかし本来、親に感謝の気持ちを伝えてその心身の健康を願うことは、それほどお金がかかるものではないはずですね。
「敬老の日」や「母の日」以外にもいつでも会えるときに顔をあわせて、ともに過ごす時間を少しでも増やすこと。
親の話したがっていること・伝えたがっていることを、少しでも多く聞いてあげること。
それが、もっとも大切なことではないでしょうか。
いっしょにいる時間を伸ばせばよいと考えて、故郷の親を呼び寄せて同居すれば問題解決…とカンタンにいかないのが難しいところ。
新しい環境になじめず、望郷の念からストレスや孤独に苦しんだり、認知症になってしまう事例も珍しくありません。
これでは完全に逆効果です。
親子別々に過ごしてきた長い時間が、子供にも容易に理解しがたい、親なりの感性・感覚・生活習慣をすでにつくり上げているはずです。
それを理解し、尊重したうえで行動に移さないと、自分の思いを押しつけるだけに終わってしまいます。
残り少ない人生の日々を目の当たりにして、親はある種の喪失感を心に抱きながら日々を生きているはずです。
団塊世代に入った気苦労と経済的負担の多い息子や娘に余計な心配をかけまいと、その気持ちを心の奥底にじっと押し込めながら。
「孝行のしたい時分に親はなし」ということわざが、すべてを物語っていますね。
さぁすぐにでも、親のために今の自分ができることを考えてみませんか。